まっくら森

水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」について日々思うことを綴るブログ。

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キタネコSS-3-2 夏の日 

こんばんは。
今日は、キタネコSS-3-2(短いの)だけ更新します。

なんてことない話ですが、鬼太郎とねこ娘の日常というか、
暑い夏の日とかなにしてるんだろうと妄想してみました。

このカテゴリーは、鬼太郎アニメ第4期のイメージで管理人が書いたSSを置いています。
相当妄想が入っておりますので、お許しいただける方だけご覧頂ければと思います。

【追記】
サイト化いたしました。
まっくら森(まとめ) → 
小説もこちらの方が若干読みやすくなっているかと思います。


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夏の日

蝉の声がさざなみのように響いている。
うっそうと茂る木々の中にいると、草いきれで胸が詰まるようだ。
ねこ娘は、大きなブナの樹の枝にまたがり、森の中を渡る風に吹かれていた。
紫の髪が、初夏の日の光に透けてきらきらと光る。

すぐ側の太い幹には、大きなミンミンゼミが一匹。
白と灰色が織り交ざった複雑な模様の樹皮にまぎれるように取り付いている。
ざらっとした質感に心惹かれて、ねこ娘はその褐色の羽にそっと手を伸ばす。
小さく震える薄い羽は、枯れ葉のような手触りだろうか。

「ねこ娘! そんなもの食べちゃダメだよ。」
急に声をかけられて驚いた拍子に手元が大きく揺れる。
狙っていた獲物は、ブンッと大きくひと唸りして飛び去ってしまった。
「食べないわよぅ! 失礼ね!」
「ははは。」
憤慨して見下ろすと、幼なじみの少年が笑顔でこちらを見ていた。
その表情から、ねこ娘は彼にからかわれたのだとわかる。
視線だけで少しすねて見せるが、それもまた戯れにすぎない。
「何か見つけたのー?」
彼の手元には、果実が数個ぶら下がっている細い枝が握られていた。
果実の表皮はつるんと張っており、赤く熟れているようにみえる。
「ああ。向こうにたくさんなってたよ。ちょうど熟れてる。」
「スモモ?」
「うん、多分ね。甘いよ。」
そう言いながら、枝からもいだ果実をひとつ放ってよこす。
大きな弧を描いて空を切る果実を両手で受け止めると、みずみずしく甘い香りが弾けた。
その皮をブラウスの袖でキュッキュッとこすってから、一口かじる。
つるりとした舌触りの表皮が破れ、筋張った果肉から甘酸っぱい果汁がしみ出した。
「もう少し採って、父さんやみんなにも持って帰ろう。」
「うん!」
「さあ、降りておいで。」
ねこ娘は、地上3メートルほどの樹の枝から、彼の元にためらいもせず飛び降りる。
その身体は重力を感じさせず、ふわりと一回転して着地した。
赤いスカートを閃かせながら、足音もさせず。

過ぎていく夏の一日。
夕暮れの手前、手と手を握り合って、山道を急ぐ。
家に帰り着いた後もこの時間が続くと思うと、足取りも軽い。

「ただいまぁ~!」
「おぉ、早かったのぅ。二人とも。」
「スモモがたくさん採れたのよぅ。池で冷やしておこうか? 」
「こりゃ、いい色に熟れとるのぅ。夕飯の後にみんなで食べるかな。」
「そうですね。父さん。」

ゲゲゲの森にやがて明かりが灯る。
蝉時雨は日の入りとともに静まり、あとはただ、風が渡るごうごうという音だけが響く。

(終わり)

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キタネコSS-3-1 雨が降る夜は。 

ゲゲゲの森に、雨が降る夜。
季節はもうすぐ夏だった。
夕飯の後も長居したねこ娘は、家に帰るのが億劫になる。
半分閉じたまぶたでうつらうつらするところに、目玉の親父が声をかけた。
「今日は、泊まっていったらどうじゃ。ねこ娘。」
鬼太郎が、読んでいた本から目を上げずに応ずる。
「父さん。布団はひとつしかありませんよ。」
「前は、よく一緒に寝とったじゃろう。」
「ねこ娘がいいなら、いいですけど・・・。」
ねこ娘は、大きなあくびをひとつする。
「・・・うん。あたし、もう眠いかな。」

久しぶりに二人でもぐりこむ布団は、以前よりもずっと狭く感じる。
妖怪横丁のこと、ねずみ男の新しい商売のこと、砂かけ婆の腰痛のこと、
最近ゲゲゲの森に新しく生えてきた珍しい樹のこと、
とりとめのない話のうちに、やがてどちらともなく寝息を立てはじめる。
家の外には月もなく、ただ雨だけがしとしとと降る。

しとしととした雨が降る夜は、寂しい気持ちを連れてくる。

あたしは神社の境内に捨てられた仔猫だ。
兄弟はみなどこかへ行ってしまった。
食べるものなど何もない。
雨の降りしきる寒い夜に、神社の軒下で、
なかなかやってこない誰かをただ待ち続ける。
身体が冷えてくると、それはもう終わりが近いということだ。
そのときに感じるのは、悲しい気持ちとも悔しい気持ちともちがう。
寂しい気持ちだけ。
あたしはこの世界から必要とされていない命だ。
誰もあたしを待っていない。誰の役にも立たない命だ。

「どうしたの? ねこ娘。」
伸びてきた冷たい手に頬をぬぐわれて、
ねこ娘は自分が泣いていたことに気付いた。
「ゆめ、みてた、みたい。」
「・・・怖い夢? 」
「ううん。さみしい夢だった、気がする・・・。」
「・・・そっか。」
寝返りをうつと、後ろから鬼太郎の腕が伸びてきて、きゅっと抱きすくめられる。
自分よりも体温が低いはずなのに、不思議と温かい。
遠慮がちな手が、髪の毛をかきわけて、ねこ娘の頭を優しく撫でさする。
鬼太郎の声は少し寝ぼけていて、夢の中にいるみたいだ。
「もう、大丈夫だよ。だから、おやすみ。」
「うん。ありがとぅ・・・。おやすみ。」


鬼太郎とねこ娘


もう、寂しいことはないんだよ。
あたしには、ちゃんと居場所があるの。
だから鳴かないでと、自分の中の白い仔猫に言い聞かせた。
それから、温かい腕の中で、もう夢も見ずに眠りについた。

(終わり)

挿絵:三本さま

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