まっくら森

水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」について日々思うことを綴るブログ。

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4期キタネコSS 1月の眩しい光0 

このカテゴリーは、ゲゲゲの鬼太郎(第4期)のイメージで書いたSSを置いています。
相当妄想が入っておりますので、お許しいただける方だけご覧頂ければと思います。
もし、感想などありましたら、コメントか左のメールフォームから
メッセージを頂けると大変うれしいです。
よろしくお願いいたします。

【追記】
サイト化いたしました。
まっくら森(まとめ) → 
小説もこちらの方が若干読みやすくなっているかと思います。

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[ 2008/01/11 23:23 ] 4期キタネコ:お正月 | TB(0) | CM(0)

4期キタネコSS 1月の眩しい光1 

1月。新しい年の新しい月。
ゲゲゲの森に差す光も、暗く沈みこんだ12月より心なしか眩しい。

鬼太郎の家のかまどでは、盛大に炎が焚かれていた。

かまどに渡された目の粗い網の上では、長四角のもちがじりじりと焼かれている。
もちは、大晦日に搗いたばかりで芯まで乾いていないので、
熱を受けるとすぐにも大きくふくらみ、ぽふっと軽い音をたててはじける。

焼かれたもちは、ふちの欠けたお椀にほうりこまれ、
そこへかつおぶしで出汁をひいた熱い汁が張られてゆく。
汁に入るのは、四つ切の大根、にんじんに鶏肉と結んだ三つ葉。
つんと爽やかな香りは、たぶん柚子の皮なんだろう。
それをねこ娘はお雑煮だというのだけれど、正直なところよくわからない。

鬼太郎には母がいないので、お雑煮がどんなものであるかを知らないのだ。
ただ、ねこ娘がそうだと言うので、黙って食べる。
湯気の立ち上る汁は香ばしくて、とても美味しい。

美味しいのは、作りたてだからだろうか。
それとも、みなで食べるからだろうか。

ちゃぶ台の上では目玉おやじが、その身体ほどもある椀を抱えている。

「かーっ、やっぱり正月には雑煮だろうがよぉ」

その向かいでは招かれてもいないねずみ男が、
当たり前のような顔でずるずると箸を動かしていた。
台所には、エプロン姿のねこ娘。
ねずみ男の分なんて用意してないわよぅと文句を言いながらも、
軽やかに立ち働いている。

それを横目で眺めながら、ああ、外の光が眩しいと鬼太郎は思う。
暗い墓場から這い上がってきた自分には、少し眩しすぎるくらいだ。
でも、今はもうそれも心地よい。

*****

「ほれ、ねこ娘もこちらに来て座るんじゃ」

目玉おやじがねこ娘を呼ぶ。

「はーい」

それに応えて、ねこ娘も席につく。

ちゃぶ台の中央に用意されているのは、真っ黒な漆塗りのお銚子と盃だ。
鬼太郎とねこ娘が居住まいを正すと
――ねずみ男はそんなことには動じない様子でお雑煮と格闘していたが――、
目玉おやじは、よろよろとお銚子を持ち上げた。

「父さん、大丈夫ですか」

鬼太郎が手を添えてやると、細い注ぎ口からトクトクと良い音がして、
盃に酒がナミナミと注がれる。
お屠蘇(とそ)だ。

「元旦にお屠蘇をいただけば、一年の邪気をはらうことができるのじゃ。ほれ、ねこ娘」

そう声をかけられ、ねこ娘は大きな瞳をぱちくりと瞬きながら、盃を受け取る。

「父さん、ねこ娘からですか」

「そうじゃ。お屠蘇は歳若い順からいただくものと決まっておる」

「それじゃ、いただきまーす」

無邪気な様子できゅっと一気に盃を傾けるねこ娘を、鬼太郎は心配顔で見守る。

「ねこ娘、そんなにいっぺんに飲んだら……」

「だいじょうぶだよ~。鬼太郎は心配性なんだから」

ねこ娘は美味しそうに盃を乾すと、赤い舌でぺろりと唇を舐める。
その頬は、すでにほんのり桜色に染まっていた。

[ 2008/01/11 23:22 ] 4期キタネコ:お正月 | TB(0) | CM(0)

4期キタネコSS 1月の眩しい光2 

同じように鬼太郎が盃を乾した後には、ねずみ男の番だ。

「へへえ、ご相伴、ご相伴」

居合わせたのだから仕方がないと言いながら目玉おやじが注いだ酒を、
ねずみ男は舐めるようにずずずと飲み干す。
そして、大げさに顔をしかめて言う。

「親父さん、なんだい、こりゃ」

「なんだって、またたび酒じゃよ。万病に効く薬酒じゃぞ」

「体にいいのはわかるがよぅ、ねずみ年だってのに、
またたび酒でお屠蘇ってのはちょっと野暮じゃねぇかい」

それを聞いて、隣にすわったねこ娘が軽く髪を逆立ててねずみ男をにらむ。

「アンタ、あたしが漬けたまたたび酒になんか文句でもあんの?
干支とお屠蘇は、なんにも関係ないじゃない」

「あれぇ、そういえば、猫は干支には入ってないんだったなぁ。こりゃ、失敬失敬……」

にやりとしながらねずみ男が言うと、ねこ娘は目を黄色く光らせながら声を高くする。

「なぁによっ!猫族が干支に入れなかったのは、ねずみ一族のうそつきが原因でしょう。
大昔から、こずるいことばっかりしてるくせにっ!」

飛び掛りそうな勢いのネコ娘の肩を鬼太郎が軽くつかむ。

「ほら、ねこ娘。お正月からけんかしない」

「だって、ねずみ男がっ」

「めでたい日のことじゃ、許してやれ。ねこ娘」

目玉おやじがそう畳みかけると、ねこ娘はぷいと横を向いた。

「文句言うんなら、飲まなきゃいいのよぅ」

そうして、ちゃぶ台に置かれた盃を手に取ると、ナミナミと注がれたまたたび酒を
もう一杯きゅっとあおってしまった。

「ちょっ、ねこ娘?」

慌てて盃を取り上げたが、ねこ娘の顔はさきほどよりもさらに赤い。

「ら~いじょうぶよ、きたろぉ。ほれくらいで、よっぱらわないってばぁ」

そう言うとろんとした瞳は、酔っ払っている以外のなにものでもないのだった。

*****

「にゃははっ。おしょうがつって、らのしいよねぇ、おやじさぁん」

すっかり上機嫌になったねこ娘が、目玉おやじとねずみ男にクダを巻いている声がする。
鬼太郎は、ねこ娘に飲ませるために、台所の水がめから冷たい水を汲んでいた。

――これで少しは醒めるといいのだけれど……。

しかし、追い討ちをかけるように、目玉おやじの甲高い声があがる。

「こりゃ、ねこ娘。もうよしておけと言うに」

はっとして振り返ると、お銚子を手にしたねこ娘がもう一杯、盃を乾しているところだった。
にゃははと笑いながら景気よく盃をあおる様子には、いい飲みっぷりだというほかはない。

「味もわからねえくせに、がぶがぶ飲むんじゃねえよ。あ~もったいねぇ」

さすがのねずみ男もあきれ顔だ。
慌ててちゃぶ台まで戻ると、鬼太郎はさりげなくお銚子をねこ娘から遠ざける。

「おっ、こりゃ……」

手元に酒が回ってきたねずみ男が、さっそく手酌で一杯始めるが、
それに構う余裕もなかった。

[ 2008/01/11 23:21 ] 4期キタネコ:お正月 | TB(0) | CM(0)

4期キタネコSS 1月の眩しい光3 

「ねこ娘、またたび酒はもうお終い。ほら、お水飲んで」

水が満たされた陶器の杯を差し出すと、ねこ娘はぺたりと座りこんだまま、
小首をかしげて鬼太郎を見上げる。
その上気した顔には、眩しいほどの満面の笑みが浮かんでいた。

元々抜けるように白い肌。
ブラウスの襟元からすっと伸びる首筋が、ほのかに紅く色づいていた。
そこから続く小さめのあご先、ほんの少し開いた赤いくちびるからは
キラリと先の尖った牙がのぞいている。
なめらかな頬の頂きは、またたび酒のせいで鮮やかな桃色だ。
そして、なによりも、細められた瞳が濡れたように潤んで光り、
ほのかに艶っぽい風情を醸していた。

少女には似つかわしくない妖しい美しさに、鬼太郎は一瞬だけ見とれてしまう。

二人のあいだに、ほんの一時空いた間。
その隙をつくように、ねこ娘はさらに目を細めてにゃんと笑い、

「ありがろ~、きたろっ」

言いながら、鬼太郎の頬にちゅっと淡くくちづけた。

chu_20080111234212.jpg
Illustrated by ミモトさま

少し濡れた温かい感触。

何が起きたのかわからなくて、鬼太郎の身体は固まった。

「ね、ねこ娘?」

上ずった声が出て、かーっと頭に血がのぼっていく。
体温の低い鬼太郎の身体の中で、ねこ娘の唇が触れた頬の一点だけがやけに熱く、
その熱が開放を求めて激しく上昇してゆくようだった。

手をつないだことはある。少し強引にくちづけをしたことも。
でも、こんな風にねこ娘の方から鬼太郎に触れてきたことは初めてだった。

しかし、当のねこ娘は、くちづける前と変わらない無邪気な笑顔で
こちらをうれしそうに見上げている。

――意味がわかってやってることじゃないんだ。落ち着け。

鬼太郎は、自分にそう言い聞かせて態勢を立て直そうとしたが、
その努力もすぐにむなしいものになる。

目の前でにこにことしていたねこ娘が、今度は、

「きたろ、らいすきらお~」

そう言いながら、鬼太郎の首に手を回して身体をすりよせてきたのだった。

他意はないのだろう。
どこまでも無邪気な腕が鬼太郎の身体に柔らかく巻きつき、
そのまま膝に乗るようにもたれかかってくる。
自分の冷たい身体とねこ娘の熱を発する温かい身体の境目が
いやにはっきりと感じられた。
それが、どこか切ない。

どくどくと心臓が脈打つ音が静まらない。

そんな鬼太郎の動揺をよそに、ねこ娘はゴロゴロとのどを鳴らさんばかりの懐きようで、
しきりに鬼太郎の胸元に頬をこすりつけてくる。
その度に、紫の毛先がさやさやと鬼太郎のあご先をくすぐった。

思わず泳いだ鬼太郎の視線は、
にやにやとしながら見ていたねずみ男のそれとちゃぶ台越しにぶつかる。

ねずみ男は、わざとらしく大きなため息をつくと、両手を広げて言った。

「なぁに、正月からいちゃついてやがんだよ~。ガキのくせに、色気づきやがってよぅ」

「……ねずみ男、ふざけるなよ」

照れ隠しも八つ当たりも含みながら、多少むっとした顔でそう言い放っても、
ゴロゴロと甘えるねこ娘をひざに抱いたままでは説得力もない。

「お~、正月からこえ~な。鬼太ちゃんはよ~」

ねずみ男が面白がっているのは、明らかだった。

[ 2008/01/11 23:19 ] 4期キタネコ:お正月 | TB(0) | CM(0)

4期キタネコSS 1月の眩しい光4 

「こりゃ、ねずみ男。ねこ娘は酔っ払っておるのじゃ。からかうでない」

目玉おやじが間に入ってそう諭す。

そのとき。
三人のやり取りをじっと聞いていたらしいねこ娘が、鬼太郎の胸元から顔を上げた。
そして、ねずみ男のほうを向いて、いたずらっぽく目を瞬かせる。

「らによ~。あんらも、してほしいんれしょぅ~」

「ね、ねこ娘……?」

その半分ほどまぶたが落ちた猫目は、明らかに座っていた。

ねこ娘は鬼太郎から身体を離すと、ひらりと膝先から降りる。
そうして、両手と両ひざを床についた姿勢のまま、
今度は、ちゃぶ台の向こう側に胡坐をかくねずみ男へにじり寄りはじめた。

「な、なに言ってやがんだよ。俺はガキのねこ女になんかキョーミねえっての」

口ではそう言いながらも、ねずみ男はひどく慌てた様子で後ずさりはじめる。
頬が赤いのは、またたび酒のせいだけだろうか。

ねこ娘がゆらゆらと一歩前に出ると、ねずみ男はずるりと尻一つ分後ろに下がる。

そんなことを繰り返していたが、所詮は狭い部屋の中でのこと。
すぐにねずみ男の背は、狭い部屋の壁に当たってしまった。

しかし、本当に慌てていたのは鬼太郎だった。

しっぽがあったならば左右にゆらりゆらりとふらんばかりのねこ娘の態度は、
まるで獲物のねずみを狙う猫だ。
鬼太郎は、とっさに後ろからねこ娘の二の腕をつかんだ。

「ねこ娘、落ち着いて。あんなもの舐めたら、おなか壊すから」

「にゃー!らいじょうぶ、らいじょうぶらってば~」

ねこ娘は、ろれつの回らない口でそんなことを言い、こちらを振り向きもしない。

鬼太郎は、ふうと一つ息を吐く。

そうして覚悟を決めると、余計なところに触れないように気遣いながら、
ねこ娘のじたばたと暴れる身体を後ろからきゅうっと抱き寄せた。
見た目よりもさらに軽い身体は、大して力を入れなくても意のままになる。

「きたろ~?らいじょうぶらから、はなしてお~」

そう言いながらも、鬼太郎に抱きすくめられると、
途端にねこ娘はくたりと脱力して大人しくなった。

小さな身体は、さっきよりもさらに温まり、ぽっぽっと熱を発しているようだった。
こんなに温かいということは、もうそろそろ、酔いの効用で眠いのかもしれない。

「き、きたろぅ!そいつをちゃんと捕まえとけよっ」

ねずみ男のおびえた声を黙殺し、鬼太郎はねこ娘に水の杯を渡す。

「ほら、水飲んで、ね」

「ん」

ねこ娘は、思ったとおり、大分とろんと眠そうな目になっていた。

それでも、素直に杯を受け取って、こくりこくりと一気に飲み干す。
目の前で白い喉がどくどくと動いて、水が飲み込まれてゆく。

冷たい水が、頭に上った熱を冷ましたのだろうか。

空になった杯を手渡すと、ねこ娘は鬼太郎の膝に頭を乗せ、
猫さながらに丸くなってぱったりと眠ってしまった。

[ 2008/01/11 23:18 ] 4期キタネコ:お正月 | TB(0) | CM(0)

4期キタネコSS 1月の眩しい光5 

*****

一騒ぎが収まると、みな様子を伺うように口を利かず、部屋はしんとした沈黙に満ちる。
その中で、ねこ娘のすうすうという寝息だけが、高らかに空気を震わせていた。

「おい。そいつは、眠ったのかよ?」

ぶっきらぼうに、でも、かすれた小声でねずみ男が問う。

「うん。寝てると思うけど」

鬼太郎は真上から、目玉おやじはちゃぶ台の上から、
鬼太郎の膝で丸くなるねこ娘の寝顔を確認する。

ぴったりと閉じられた瞳の端からは長いまつげがこぼれ、
下まぶたに淡い影を落としていた。
それが、寝息のリズムに合わせてさわさわと揺れている。
指一本分ほど開かれたままの口がいかにもしあわせそうにむにゃむにゃと動き、
さっきまで酔っ払って大騒ぎしていたようにはとても見えなかった。

足音がして、影が差す。
見上げれば、ねずみ男も腕組みをしたまま、
おそるおそるねこ娘の様子をのぞきこんでいた。

男三人はしばらくの間、こわばった面持ちで額を寄せあい、
あどけない寝顔を眺めおろす。

「こいつに酒乱の気があったとは、知らなかったぜ……」

やがて、心底ほっとしたという声でねずみ男がつぶやくと、
部屋中にただよっていた微妙な緊張が、ほろりとほどけた。

「来年は、ねこ娘にはお屠蘇はなしじゃな……」

「そうした方がよさそうですね……」

鬼太郎は、眠ってしまったのだから仕方がないという顔をして、
膝の上で規則的に揺れるねこ娘の髪をゆるく撫でる。
温かい耳の裏に、無防備な首筋にそっと触れてみる。
指先を通じて、身体の奥のほうでどくんどくんと脈打つものがわかる。
命のありかが伝わってくる。

「こりゃ、お正月早々、大騒ぎだったのう……」

目玉おやじがやれやれといった顔でそうつぶやき、鬼太郎は、

「目を覚ますころには、酔いも覚めているでしょう」

澄ました顔でそう応じた。

*****

少しにぎやかすぎるくらいのお正月だった。
はじめは父親と二人きりだったはずなのに、一人増え、二人増え。
でも、鬼太郎は、こんな暮らしにも、すっかり慣れてしまった。

1月。新しい年。眩しい、美しい、新しい世界。
少ししびれた膝の上には、温かくて幸福な気配。

「おい、鬼太ちゃんよぅ。雑煮だけじゃなくて、お節も用意してんだろ?
今のうちに食っちまおうぜ」

「お節料理も、ねこ娘が準備してたからね。目を覚ますまでは食べられないよ」

「って、おいおい、まじかよ。それじゃあ、わざわざ来た意味、ねぇじゃねえかよ~」

「……小一時間もすれば、起きるだろ。それまで待ってればいいさ」

「ねずみ年だってのに、猫待ちってか?アホらしくて涙が出るぜ」

新しい年は、まだ始まったばかり。
ゲゲゲの森には、今年ものんびりと時間が流れてゆく。

(終わり)



[ 2008/01/11 23:17 ] 4期キタネコ:お正月 | TB(0) | CM(0)
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