まっくら森

水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」について日々思うことを綴るブログ。

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キタネコSS-2 わけてあげるね 1 

このカテゴリーは、鬼太郎(第4期)のイメージで管理人が書いたSSを置いています。
相当妄想が入っておりますので、お許しいただける方だけご覧頂ければと思います。
もし、感想などありましたら、コメントか左のメールフォームから
メッセージを頂けると大変うれしいです。
よろしくお願いいたします。

【追記】
サイト化いたしました。
まっくら森(まとめ) → 
小説もこちらの方が若干読みやすくなっているかと思います。

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キタネコSS-2 わけてあげるね 2 

ねこ娘は、急ぎ足で夕暮れの妖怪横丁を抜けると、ゲゲゲの森に向かう小道へ足を向ける。
手元に抱いた風呂敷包みには、今日の夕方に炊いた竹の子ご飯の入ったお櫃に、
菜の花のお浸し、そして、鮎の塩焼きが一匹包まれていた。
ねこ娘にしては、ご馳走だ。
いいにおいのするその包みを大事そうに抱え、ねこ娘は先を急いでいた。

ゲゲゲの森に住む幼馴染は、2~3日前から父親とともに家を留守にしていた。
どこか遠くへ妖怪退治に行ったのだろう。たまにあることだ。
事件はいつも突然起こり、猶予がない。
ねこ娘の助力が必要なければ、特に何も言わないまましばらく留守にすることもたびたびだった。
一昨日この小屋に来たときに、ねこ娘は誰の気配もないのを見て
ああ、またどこかへ行ってしまったんだと気付いた。
鬼太郎に頼りにされないことについて、寂しい気持ちがないといったらうそになる。
でも、もっと私に力があったら連れて行ってもらえるかもしれないなんて
そんなことはもう考えないと決めていた。
自分にないものを求める危うさをねこ娘はよく知っていた。
そのために、大切な人を危険な目に合わせることはもうしたくない。
そして、鬼太郎がここに帰ってきたときには役に立てることがあるかもしれない。
そのときにできることを精一杯するんだと思っていた。

今日の夕方、ねこ娘はある予感を覚えた。
ねこ娘はもともと猫の化生だ。勘の鋭さには自信がある。
その予感は、鬼太郎がゲゲゲの森に帰ってきたかもしれないと告げていた。
ねこ娘はすぐにでも会いに行きたかったが、鬼太郎は疲れているかもしれなかった。
鬼太郎の身体は強い再生能力を持っているけれど、それも完全無欠ではない。
破損した身体部分はすぐに再生するが、再生が定着するまでの一時期には、
膨大なエネルギーがかかり、強い苦痛がもたらされる。
ねこ娘は、激しい戦闘で傷ついた鬼太郎が、一人でその苦痛をやりすごす様子を何度も見ていた。
木の葉でできた布団にただ臥せっている鬼太郎に、ねこ娘ができること・・・。

ねこ娘は、急いで家にある食べ物を集めると、食事の支度を始めた。
エプロンを締め、アパートの住人からもらった竹の子を茹で、菜の花を刻み、
川で捕ってきた新鮮な鮎を焼く。
幽霊族である鬼太郎は、普段それほど多くの食事を必要としない。
ねこ娘のような元々が生き物である妖怪とは、エネルギーの取得方法が異なるのだ。
ただ、傷の回復を待つ期間は、いつもよりもエネルギーを必要とするせいかよく食事をする。
これなら、もし何もなくても差し入れということでいいし、
もしかしたら、鬼太郎の回復の役に立つかもしれない。

キタネコSS-2 わけてあげるね 3 

小一時間ほどで準備を終えたねこ娘は、出来上がったご飯をお櫃に詰め、
菜の花を蓋の付いた入れ物に、鮎を笹の葉に包むと、全体を風呂敷でまとめた。
そして、ゲゲゲの森への道を急いだ。

池のほとりまで来ると、高床式に作られた小屋の煙突から煙が細く出ているのが見えた。
「・・・いる。」
ねこ娘は、急いできたのを気付かれないように、その場で少し息を整える。
そして、「きたろう~。あたしだよ~。」と梯子の下から呼びかけた
そのまま、入り口に掛けられたすだれを見つめるが、動く気配がない。
今は留守にしているのかもしれない。
ねこ娘は、足音を立てないように梯子をよじ登り、すだれの端をそっとめくって小屋の中を覗いた。

正面に置かれたちゃぶ台を仰ぎ見ると、ふちの欠けた茶碗が伏せられていて
目玉の親父がいないことがわかる。
あれ、と思い、部屋の隅に目を移すと、木の葉の布団が膨れていた。
鬼太郎が寝ているんだとすぐに気付く。
しかし、静まり返り、気配の消えた部屋の様子に、
そのまま、上がったものか、声をかけずに帰ったものか判断が付かず
息を潜めて様子を伺っていると、布団の中からくぐもった声がした。
「ねこ娘。どうしたんだ。お上がりよ。」
ねこ娘は気配を消していたつもりだったので、その声にびくっと身体を震わせた。
どうしていつも鬼太郎には気付かれてしまうんだろう。

ねこ娘はすだれの端から小屋の中にそろっと身体を転がり込ませると
鬼太郎の負担にならないようにひそひそとした声で話しかけた。
「か、帰ってきてたんだね・・・。具合悪いの?」
鬼太郎がこちらに寝返りをうつ気配がする。
「ちょっと疲れてるだけだよ。」
気だるそうな声だった。
ねこ娘は、その声を聞いて、食べ物だけ置いて帰ろうと思った。
「差し入れ持ってきたから、ここに置いていくね。」
ちゃぶ台の上に風呂敷包みを開けて、中の食べ物を並べる。
ふんわりと漂ういいにおいに、これが少しでも鬼太郎の役に立ちますようにと思う。
その背中に、布団の中からうん、ありがとう、という小さな返事が聞こえた。
そのまま入り口のほうに行きかけて、ひとつだけ聞く。
「親父さんはいないの?」
聞いてから、そんなことどうでもよかったと思ったけど、鬼太郎は律儀に答える。
「気になることがあるって、井戸仙人のところへ行ったよ。」
そう、と答えると、鬼太郎は続けて、そうだ、と言う。
「父さんが帰ってきたときのために、茶碗にお湯を入れておいてくれないか。」
見ると、かまどにはやかんがかけられていて、お湯はもう沸いているようだった。
いつごろ帰ってくるかはわからないけれど、沸騰しているお湯が冷める頃がちょうどいいかもしれない。
「わかった。やっておくね。」
そう言って、ねこ娘は側に置いてある布巾を手に取り、
十分に熱せられているやかんから注意深く茶碗にお湯を注いだ。
鬼太郎に頼みごとをされたというささやかなうれしさで口元に笑みが浮かんでしまう。
そうしながら、ふいに視線を感じてわずかに斜めを見返すと、
鬼太郎が横になったまま掛け布団を少し押し下げて、こちらを見ていた。
気だるそうで少し熱を帯びた目はじっとこちらを見つめている。
ねこ娘は、口元に笑みを浮かべたまま強張りった。
うれしそうな自分をみられたことが恥ずかしかったし、
いつもと違う雰囲気の鬼太郎に少し動揺もしていた。

キタネコSS-2 わけてあげるね 4 

「もう帰るね。」
ねこ娘は、ようやくそれだけ言うと後ずさるように入り口に向かった。
そのねこ娘を目だけで捕らえたまま、鬼太郎がいう。
「もう帰っちゃうの?もう少しいてよ。」
ねこ娘の心臓が早鐘を打つ。
「い、いいよ。」
「じゃあ、こっちに来て。」
いつになく甘えた響きを含む声だった。
鬼太郎のもの言いがいつもと違うのは、親父さんがいないせいかもしれないとふと思う。
鬼太郎の枕元に正座すると、布団の中から伸びてきた手に右手首を掴まれる。
動悸が治まらない。
鬼太郎は布団をかぶったまま、ねこ娘の手首を握っていた。

kitaneko_4_1.jpg
挿絵:海洋菜園 文月さるさま

「鬼太郎?あたしに何かできることある?」
ねこ娘は目を閉じたままの鬼太郎に、小さな声で思い切って聞いた。
手をつないでいるだけでは、気詰まりだった。
その声に鬼太郎は薄く目を開ける。
その目が何か企んだように光ったので、
ねこ娘は余計なことを言ってしまったかもしれないと思った。
けれど、それはもう遅かった。
「じゃあ、少し妖気をわけてくれる?」
ゆっくりと鬼太郎は言った。その響きに少し怪しいものを感じて、ねこ娘はたじろぐ。
「妖気を、わけるの?」
鬼太郎はまた目を閉じて、表情を隠してから言った。
「少しでいいんだ。もしかしたら、眠くなるかもしれないけど、目が覚めれば元に戻るから。」
ねこ娘はそれがどういうことが理解できなかったけど、
少しでも鬼太郎の役に立つならば協力したかったので
「いいよ。あげる。」と頷いた。
その返事を聞くと、鬼太郎はゆっくりと布団から起き上がり、こちらを見る。
起き上がった鬼太郎の顔は、いつもより青白く、透き通ってみえた。
ねこ娘はその鬼太郎の痛々しい様子に胸をぎゅっとつかまれるような切なさを覚える。
私が持っているものなら、いくらでもわけてあげる・・・。

キタネコSS-2 わけてあげるね 5 

鬼太郎は、冷たい手でねこ娘の額にかかる前髪に触れると言った。
「じゃあ、目を閉じて。」
言われた瞬間、ねこ娘は鬼太郎が何をしようとしているか、わかった。
身体が少し震える。
目を閉じると、鬼太郎の手が肩に置かれ、もう片方の手が頬に添えられる。
そして、その手はゆっくり顔をなでて、ねこ娘の顎を持ち上げた。
頬が赤く染まっている予感がする。
すぐ近いところから、鬼太郎の声がした。
「妖気を吸うから、少し唇を開いて・・・。」
顔が強張っていて言うことを聞かなかったけど、ねこ娘はほんの少し口を開けた。
中央がくぼんだ赤い唇の端からきらりと尖った犬歯が覗く。
そのまま待つと、顔の正面で気配がしてから、唇につめたい唇が押し当てられた。
しばらく表面が触れ合った後、優しく吸われる感触がする。
鬼太郎の唇が濡れて、ねこ娘の唇の上でゆっくりと動く。
空気だけではなく、何かもっと生温かいとろりとしたものも口から吸いだされるようで
ねこ娘は軽く身震いをした。
肩に置かれた鬼太郎の手はいつのまにか強くねこ娘の体を掴んでいて、痛いくらいだった。
だんだんと身体の奥が熱くなる。
その熱くなった部分から、急にコントロールできない激しい感覚が沸きあがってきて
ねこ娘は恐ろしくなって思わずもがき、唇を離した。
「にゃぁっ・・・きたっ・・・だめぇ・・・。」
声にすると、ため息交じりのささやきにしかならなかった。
そして、自分の身体に力が入らず、ぐったりしていることに気付く。
いつのまにかねこ娘の身体は鬼太郎の腕に抱かれていた。
引きずり込まれるような強い眠気が襲ってくる。
「すっごい・・・眠いよ・・・。」
まぶたはもうほとんど落ちていた。
鬼太郎の声がする。
「ごめんね。ここで少し寝ていく・・・?」
うん、とかすかにうなずいたかどうかも、よく覚えていない。
ねこ娘はそのまますっと眠りに落ちていった。

鬼太郎は、自分の腕の中で眠りに落ちたねこ娘の顔を見ていた。
想像していたよりも、柔らかくて温かい。
妖気を吸ったときにねこ娘があげた声のせいで、なぜか背筋がぞくぞくと逆立っていた。
鬼太郎は、上気した頬にそっと口付けると、大事そうに抱え、自分の側に横たえる。
口の中には、ねこ娘の妖気のほんのり甘い味が残っていた。
妖気はその妖怪の性質を表すもの。
邪気のないねこ娘の妖気は、山の湧き水のようにさっぱりしてほのかに甘かった。
鬼太郎は、ねこ娘を背中側からかぶさるように抱き寄せると、木の葉の布団をかけた。
そのまま、その首筋に顔をうずめて目を閉じる。
回復期の身体はまだ悲鳴を上げていたが、
ねこ娘の温かい身体に触れている部分だけは、痛みが解けて消えていくようだった。
妖気が欲しいのは口実だった。
ねこ娘の温かい手に触れているうちに、つい魔が差した。
身体の苦痛には慣れてはいるが、逃れるすべはない。
しばらくの間はただ耐えるしかないのであれば、
せめて温かいものを懐に抱いて眠るくらいは許されるのではないかと思ったのだ。
ただ、実際に手にしてみると、痛みに神経がやられて随分と傍若無人なことをしたと思う。
あとで謝らなくては・・・。
そう思いながらも、腕の中の小さな猫妖怪の体温は愛おしくて
鬼太郎は、父さんが帰ってきたらなんと言い訳しようと考えながら、
その身体を優しく抱きしめて眠りに落ちた。

キタネコSS-2 わけてあげるね 6 

ねこ娘が目を覚ましたのは、翌日の朝だった。
いつもと違う匂いに跳ね起きると、木の葉の布団に一人で寝かされている。
なにが起きたかわからず、寝ぼけ眼のまま回りを見回すと、
ちゃぶ台には目玉の親父と鬼太郎が座り、こちらを見ていた。
「おぉ、ねこ娘。起きたか!」
と目玉の親父が甲高い声を上げた。
ねこ娘が目を丸くしていると、鬼太郎が言う。
「ねこ娘も食べるかい?」
手元を見ると、目玉の親父と鬼太郎は、ねこ娘の持ってきた食事に取り掛かっているところだった。
表面をあぶり直した鮎のいいにおいがする。
「ねこ娘は料理の腕を上げたノ。」
目玉の親父は満足そうに竹の子の破片を口に運んでいた。
それを見るうちに、ねこ娘は急におなかが空いていることに気付いた。
食卓は温かくて、なんだか涙が出そうだった。

一人で帰ると言ったけど、鬼太郎は送ると言い、
珍しく目玉の親父もそうしろと強く言い添えたので、
ねこ娘は昼の明るいゲゲゲの森を鬼太郎と並んで歩いた。
ねこ娘は、昨日の出来事を思い出すと恥ずかしかったが、鬼太郎はそ知らぬ顔だ。
あれはいっそ夢だったのかと思う。
ただ、妖怪アパートの前まで来たときに、鬼太郎はねこ娘の耳元でささやいた。
「昨日はごめんね。でも、助かったよ。」
その途端、あれは夢ではなかったと気付いたねこ娘は顔を上気させたが、
ささやくなり鬼太郎は身を翻して走っていってしまったので、
ねこ娘はそれ以上のことを何も聞くことができなかった。
ただ、振り返った鬼太郎が遠くから手を振るのに、手を振り返すのが精一杯だった。

終わり

キタネコSS-2 わけてあげるね 7 

あとがき的なもの

また同じようなものを書いてしまったです。
ねこ抱いて寝ると気持ちいいかな~と思って。はは。
時間軸的には、一応SS-1の後という設定です。
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